2026年度 早稲田大学史学会のお知らせ
10月10日(土)午前10時より(対面のみ)
研究発表 (10:00~12:30)日本史部会 戸山キャンパス 33号館3階 第1会議室
① 平安時代の太政大臣 豊島岡女子学園高等学校教諭 神谷 正昌
② 豊後大友氏の鹿狩 大学院学生 石井 伸明
③ 養子相続にみる血筋の認識―嘉永期鳥取藩池田家を題材に― 大学院学生 芦沢 拓海
④ 幕末維新期の洋学者と出版 歴史館講師 佐々木 千恵
早稲田大学史学会 シンポジウム 14 : 00~14 : 10
「デジタル・ヒューマニティーズと歴史学の最前線」
後援:総合人文科学研究センター「デジタル人文学の理論と実践」部門
場所:戸山キャンパス 33号館3階 第1会議室
会長挨拶 谷口 眞子
趣旨説明 中澤 達哉(司会)
趣旨説明
近年、デジタル技術を人文学に応用する「デジタル・ヒューマニティーズ(以下DH)」は急速に発展している。歴史学においても、史料のデータ化やAI解析、3D計測などが、研究手法や史料論を刷新する原動力となりつつある。しかし、その実践の方法論は各分野に個別的に蓄積されがちであり、歴史学全体としての基礎認識の確立には至っていない。
そこで本シンポジウムでは、日本史・東洋史・西洋史・考古学の4分野から、DHの最前線で実践と環境づくりに取り組む研究者を招き、最新動向と具体的実践を報告いただくとともに、歴史学の将来像について議論を深める。その際、単なるツールの紹介を超えて、具体的な実践のプロセスを共有することを目指したい。
東洋史学の柿沼陽平氏は科挙試験のデジタル分析、考古学の高橋亘氏は遺跡・遺物の三次元計測を中心に、現場に即した具体的成果を報告する。日本史学の後藤真氏(国立歴史民俗博物館)は、歴史資料のデータベース化や時空間分析について報告し、歴史情報学の体系化という視点から、これからの歴史学がDHの潮流といかに向き合い、応用すべきかという将来のビジョンを論じる。また、西洋史学の菊池信彦氏(国文学研究資料館)は、ツールを実際の研究へ応用する実践へのステップや、研究を社会に開く「パブリック・ヒューマニティーズ」の手法について報告する。これらは、歴史研究者や学生が明日から参考にできる視点となるであろう。
以上の4報告に対し、東洋史学の飯山知保氏と東アジア仏教・東洋哲学の師茂樹氏がコメントする。総合討論では、基礎的なアプローチから最先端の動向までを包括し、これからの歴史学への応用や社会への開き方、その可能性と将来について分野を横断して重層的に討議する。本シンポジウムが、DHの拓く次世代の歴史学のビジョンやグランドデザインを検討する場となれば幸いである。
1.柿沼 陽平(東洋史/早稲田大) 14 : 10~14 : 30
「AI を活用した科挙の出題傾向と採点基準の研究」
中国歴代王朝の官僚登用試験たる科挙は、社会全体に影響を及ぼした制度でもあった。報告者は最近、天一閣図書館をはじめ世界各地の機関に所蔵されている明代科挙の問題と模範解答を悉皆調査して収集し、デジタルデータ化した。本報告ではこのデジタルデータとAIを組み合わせ、明代科挙の出題傾向と模範解答の採点基準を分析した結果を紹介したい。
2.高橋 亘(考古学/早稲田大) 14 : 30~14 : 50
「デジタル技術を用いた古代寺院の考古学的研究」
早稲田大学はデジタル技術を活用した考古学的調査を国内外で先導している。特に、地中レーダー(GPR)や三次元測量・計測を中心に、遺跡の非破壊調査を進めており、考古学の方法論を大きく変化させてきた。本報告では、まず本学文学学術院考古学コースが実施してきた調査事例を紹介する。そのうえで研究実践の一例として、これらのデジタル技術を古代寺院の考古学研究に応用した、発表者自身の研究を紹介する。
3.後藤 真(日本史/国立歴史民俗博物館) 14 : 50~15 : 10
「歴史情報学から考えるこれからの歴史学―コンピュータと資料批判・解釈・共有」
「歴史情報学の創成」事業を題材に、日本史学と情報学との関係の今後を考える。DH の分野にも、生成AI の波は及びつつあり、DH がデジタルそのものを対象化する領域である以上、その影響は大きい。これまでのDH およびその関連分野による基盤整備や相互運用性向上の試みは、AIを用いた研究へと展開しつつある。本報告では、探索支援、読解支援、解釈、共有化の新たな可能性を示すとともに、資料批判や倫理の問題がどのように位置づくのか考えたい。
4.菊池 信彦(西洋史/国文学研究資料館) 15 : 10~15 : 30
「生成AI と西洋史学-「生成史学」という提案-」
日常生活はもとより、歴史研究を進めるうえでも、生成AIの動向はもはや無視できない。本報告では、西洋史デジタル・ヒューマニティーズの最新動向として、その利用に焦点を当てる。史料の探索・読解から叙述生成にいたる報告者自身の事例も踏まえつつ、歴史研究者が今日から始められる研究と実践のアプローチを紹介し、その先にパブリックヒストリーも含めた“生成史学”という方法論的視座を提案したい。
休憩: 15 : 30~15 : 40
コメント(各10分): 飯山 知保(東洋史/早稲田大)、師 茂樹 (東洋哲学/早稲田大) 15 : 40~16 : 00
報告者からのリプライ: 16 : 00~16 : 20
総合討論: 16 : 20~17 : 10
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